【はじめに】
療育とは、発達障害や知的障害、自閉スペクトラム症、脳性麻痺などのある子どもたちに対して、医療と教育の両面から支援する総合的なアプローチのことをいいます。
発達障害とは、自閉スペクトラム症やADHD、学習障害など、脳の発達の課題に起因する障害のことで、これらはIQと関係なく起こり、知能的に正常範囲内であるケースが多いのが特徴です。一方で、知的障害は、知的機能障害と呼ばれるように、IQが70以下の場合に知的発達に遅れがある状態を指しています。
このような発達上の課題をもつ子どもたちに対して、医療面からのアプローチと教育面からのアプローチを組み合わせ、個々のニーズに応じた支援を行うことで、発達の可能性を最大限に引き出すことを目指しています。
また、脳性麻痺などで身体機能的にハンデを抱えた子どもたちに対してもリハビリと並行して行われることもあります。
【療育はどんな人に必要か】
主に、発達障害や知的障害のある子どもたちが療育の対象となります。
例えば、自閉スペクトラム症の場合、対人関係の形成が困難だったり、感覚過敏で刺激に過剰に反応したりするなどの特性があるため、こうした特性に応じた関わり方や指導法が必要になってきます。
ADHDの場合は、衝動性や多動性、不注意といった課題があるので、環境の構造化や運動の取り入れなどによって行動のコントロールを高める支援が重要です。
このほか、脳性麻痺などの身体障害を伴う場合は、リハビリと連携した発達支援も大切です。
療育を行っていく上で、個々の障害の特性や状態に応じて支援者が専門的な関わり方を考え支援していくことが求められます。
【療育の効果】
発達障害では、認知機能と実行機能のつながりにズレや課題があることがわかってきています。 療育では、専門性の高いプログラムや課題設定を行うことで、認知と実行機能のズレを修正したりアセスメントと的確な支援方法の提案を行っていきます。
例えば、読み書きに困難のあるLD(学習障害)の子どもに対しては、読み書きの前段階である知覚・認知能力を高める遊びを取り入れたり、学習内容を個別に最適化したりすることで、学習意欲の向上や定着を図ります。
医療と教育の両面から行う療育は、早期から支援を開始することが大切で、早期の療育介入児は非介入児と比較して学業、対人関係スキルともに格段に良好な向上が期待できます。
【療育グッズ】
昔ながらの遊びや木のおもちゃだけでなく、ここ最近では、タブレットを活用したさまざまな療育グッズが開発されています。
例えば、子どもの動きや視線、表情をたどって、リアルタイムに親子のやり取りの様子を解析し、適切な関わり方をアドバイスしてくれるシステムなどがあります。こうしたデジタルグッズは、科学的根拠に基づいた育児情報を提供してくれるので活用しやすいです。
このほかにも、発達段階に応じた教材やゲーム、児童向け食品・スキンケア製品といった実物のグッズも豊富です。これらを上手く取り入れていくことが大切です。
【まとめ】
以上、療育について特徴と対象、効果、最新の動向を概説しました。
発達障害のある子どもたちへの支援には、早期発見・早期支援が欠かせません。個別最適な、継続性のある療育プログラムにより、障害の影響を最小限に抑え、可能性を最大限に引き出すことが期待されます。
同時に、専門機関と地域、学校現場との連携も重要です。治療と教育の両輪で支えるチームアプローチこそが、子どもたちを幸せな社会参加へと導くことにつながるのです。
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